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第12話  扉の向こう

last update 公開日: 2026-07-28 21:00:24

祐真は再び夢の中にいた。

 昨日と同じ、暗く果てしない廊下。だが今度は足音も声もなく、ただ自分の呼吸音だけが響いている。

 目の前には、あの黒い扉があった。

 重厚で、触れることすら拒絶してくるような存在感。扉の隙間からは冷たい風が吹き出し、血のような鉄の匂いが漂っている。

 祐真は拳を握りしめ、足を前に出した。

 ──逃げるな。

 胸の奥で、もうひとりの自分がそう囁いた。

 手を伸ばし、取っ手に触れる。

 次の瞬間、鋭い痛みが掌を走った。

 見れば、取っ手には無数の棘が生えていて、彼の手を刺していた。

 赤い血が滴り落ち、床に染みをつくる。

 それでも彼は、力を込めて扉を押し開いた。

 扉の向こうに広がっていたのは、歪んだ映像のような世界だった。

 
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